温藻ヒラメ開発までの道のり

大分県は高級魚のヒラメ養殖が日本一盛んな地です。
しかし、近年の物価高騰等により電気代や飼料代などのコストアップに加え、後継者問題など事業者の悩みとなっています。

株式会社 友永工業は2021年に後継者が居なくなった養殖場を事業継承し、新たに水産事業部を立ち上げヒラメ養殖を開始しました。
水産事業部を立ち上げた2021年は日本国内でも新型コロナウイルスの感染が蔓延し、飲食業の消費が落ち込み養殖業界も厳しい経営を余儀なくされました。

追い打ちをかけるように、2022年10月に九州地方を襲った台風14号により 当養殖場は甚大な被害を受け施設は大破。
飼育していたヒラメも台風被害により大半が死んでしまうという事態に見舞われました。

陸上養殖では海面養殖のように共済の保障を受けることができず、「このままでは廃業するしかない」とまで考えたもの、挫けずに施設の復旧を続けました。
養殖場の復旧も終わり、“安全で美味しいヒラメをお客様に届けたい”との想いを胸に日々の業務に徹する中、場長の木野はヒラメ養殖業界における悩みがありました。
ヒラメは免疫力が低く、病気に弱い魚であること。
飼育過程で約40%近いヒラメが死んでしまうという高い”斃死率”に加え、毎年上がる燃料費や餌代といったコストの高騰化の問題でした。

そんな時 友人の紹介で、別府市の化粧品会社 SARABiO温泉微生物研究所の会長 濱田氏と出会い、SARABiOが2011年に別府の温泉の中から発見した新種の藻の仲間である温泉藻類RG92成分に注目しました。
RG92は研究の結果、高い抗炎症作用、抗糖化作用、抗酸化作用などさまざまな効果があることが判明し、天然由来のオーガニック原料として化粧品の開発に活用されています。
SARABiOは温泉藻類RG92の持つ力が新型コロナウイルスの抑制に利用できないか実験を開始し、細胞試験を行ったところ RG92から得られたエキスにウイルス侵入誘導因子を53.4%抑制し皮膚や体内の炎症反応を抑える効果があるということが解りました。
RG92エキスを投与した細胞はミトコンドリアが活性化し免疫力が向上することに着目した研究で、その内容はメディアで話題となりました。

“人に効果があるならば魚にも効果があるはずだ!”

場長の木野とSARABiOの濱田会長

場長の木野は仮説を立て、代表の稲葉と共にSARABiOの濱田氏会長を訪ねて協力を要請し2社での共同事業が動き出しました。

場長の木野とSARABiOの濱田会長